令和五年十一月「生命の言葉」

令和五年十一月「生命の言葉」

御社の 静けき中に
聞え来る 歌声ゆかし
新嘗の祭

今上陛下  ― 宮内庁 平成二十六年歌会始 お題「静」

皇太子殿下には、天皇陛下にお供をされ、毎年十一月二十三日から二十四日にかけて皇居神嘉殿で行われる新嘗祭にお出ましになっています。このお歌は、その折、静まりかえった神嘉殿のお社の中で、外から聞こえる楽部の奏でる神楽の音色に深い趣を感じられてお詠みになられたものです。
平成二十六年歌会始宮内庁解説より引用

神道知識の誘(いざな)ひ

「神人共食(しんじんきょうしょく)」
お祭り(神事)の後には直会(なおらい)という行事があり、神職及び参列者が神様にお供えをした御神酒を戴きます。また、大きな祭事では宴の形を取ることもあります。よくお祭り後のお疲れ様会のようなものと勘違いされる方もおられますが、実は神事の一部です。直会は神様にお供えをした神饌(お食事)を飲食することで神様との結びつきをより強くし、神様の更なる御加護(恩頼(みたまのふゆ))を願う「神人共食」の行事です。宮中で行われる毎年の恒例祭典において最も重要とされる新嘗(にいなめ)祭では、天皇陛下が皇祖をはじめとする神々に新穀を捧げ、陛下御親(みずか)らもお召し上がりになられます。
神人共食はお祭りの根本的な意義をなすものなのです。因みに私達が正月三が日に晴れの食事として食べる「雑煮」はお供えした鏡餅と神饌の野菜などを煮て作り、新年を迎えた祭りの後の直会でいただく神人共食の料理に由来します。
神社でこ祈願をした際にお神札等とともに御神酒や神饌が授与される事があります。その際には、お料理などに活用いただくなど神様からのお下がりを食して、ぜひこ自宅での「直会」「神人共食」にご活用ください。

今月の祭日

文化の日(三日) 本来は「明治節(明治天皇のこ生誕日)」。自由と平和を愛し、文化を進める日。
勤労感謝の日(二十三日) 本来は「新嘗祭(五穀豊穣に感謝する祭り)」の日。勤労を尊び、収穫・生産を祝い感謝する日。