令和五年六月「生命の言葉」

令和五年六月「生命の言葉」

いそのかみ 古きためしを
たづねつつ 新しき世の
こともさだめむ

明治天皇

わが国の
古来より伝わる
先例のもとつ心を
探り求めながら
新しい時代の
さまざまなことも
定めてゆこう
 『明治の聖代』
 (明治神宮)

神道知識の誘(いざな)ひ

「大祓詞(おおはらへことば)」
大祓詞とは、八百余字の祓(はらへ)の言葉です。日本書紀に中臣氏の祖先神であり天岩戸神話に登場する有名な天児屋命(あめのこやねのみこと)が「解除(はらへ)の太諄辞(ふとのりと)」を司ると記してあり、奈良時代以前より朝廷や各神社で唱えられています。その内容は、天皇の御祖先であられる皇御孫尊(すめみまのみこと)がお治めになられる豊葦原瑞穂国(とよあしはらのみずほのくに)(日本)の中にあって人々が犯してしまう「社会秩序を乱す罪」「人の道に反する罪」「知らず知らずに犯せる罪」などを天津罪(あまつつみ)・国津罪(くにつつみ)としてそれらを祓い清めるために神々に贖物(あがなもの)(供物)を捧げて祈りなさいと説かれました。
そうすることによって、その罪・穢れは、祓戸大神等という神様たちのお働き、瀬織津比売(せおりつひめ)が早瀬より大海原に押し出し、潮境にいます速開都比売(はやあきつひめ)が罪・穢れを海深く呑みこみ、息吹戸主(いぶきどぬし)が根国・底国に吹き祓い、最後にすべての罪・穢れを速佐須良比売(はやさすらひめ)が打ち消し去ることで、私たちは神様に与えられた元の清浄な姿に立ち帰ることができるとしています。
六月の夏越大祓・十二月の年越大祓で神主と共に唱える大祓詞は罪穢れを形代(かたしろ)に託して身を浄め「睦(むつ)び和(なご)む」大和心に立ち帰る再生の祓詞(はらへことば)なのです。