令和四年六月「生命の言葉」

令和四年六月「生命の言葉」

神は垂(た)るるに祈祷を以て先と為し
冥(めい)は加ふるに正直を以て本と為す

『倭姫命世紀』(やまとひめのみことせいき)

神より御恵みを授かるには
祈りと正直が第一である

神道知識の誘(いざな)ひ

浄明正直(じょうめいしょうちょく)
「浄明正直」とは清(きよ)き(浄き)、明(あか)き(明るい)、正しき、直(なお)き(素直な)心のことで神道の根本を表わす言葉の一つです。古事記や日本書紀にも現在の「善」を表わす言葉として「きよき」「あかき」などの言葉が多く登場することから、古来より私心の無い清らかで澄んだ心が個人や社会にとって重要とされていた事がわかります。神道において人は本来、浄明正直な神様の御心のまま清らかな心を持つと考えます。しかし澄んだ鏡でも放置すると曇ってきてしまうように、人も日常生活を送るうちにその心から離れていってしまうものです。その心をもとの浄明正直な心に立ち返る為に行なうのが「祓(はら)い」です。
祓いは神様の御恵みによって清められると同時に人が主体的に浄明正直な心に戻ろうとする心がけが求められるものです。
六月には祓いの行事の一つである夏越大祓(なごしのおおはらへ)が多くの神社で斎行されます。この半年に一度の大祓を修められ、浄明正直な心に立戻り、曇りなき眼で物事を見極め偽りのない行動を以てより良き社会を目指したいものです。