令和二年七月「生命の言葉」
人に勝つより自分に勝て
嘉納治五郎(かのう じごろう)
スポーツは心を磨く教育である
嘉納治五郎(かのう じごろう)
摂津国御影村(神戸市東灘区)生まれ。
嘉納治五郎は教育者として、柔術に独自の理論と合理性を組み込み、競技としての講道館柔道を開き、その思想は後の多くの武道家にも影響を与えました。アジア人初のIOC委員となった嘉納は、昭和十五年の「幻の東京五輪」の招致に成功しましたが、その背景には第二代IOC会長クーベルタンとの親交がありました。教育者の二人はスポーツを通じて青少年を教育する意義と重要性を強く共有していました。
日本武道協議会によると、武道は武士道の伝統に由来する日本で体系化された武技の修練による心技一如の運動文化と定義されます。「心・技・体」を一体として鍛え、人格を磨き、道徳心を高め、礼節を尊重する人間形成の道です。
嘉納の「精力善用(せいりょくぜんよう)・自他共栄(じたきょうえい)」の考えは柔道で身に付けた力を社会のために使い、対戦相手と共に成長するという基本的な理念で、まさに近代五輪の精神と融合するものでありました。
神道知識の誘(いざな)ひ
「神道行法(しんとうぎょうほう)」
神明奉仕の為に神職が行う修行のこと。行法は、精神と身体のバランスを保つ為に重要なものであり、冷水をかぶる「禊行(みそぎぎょう)」や、魂を鎮める「鎮魂(ちんこん)行」等があります。
中でも、水の力により罪や穢(けが)れを祓う「禊行」は必須とされており、都内神社に奉仕する神職の多くが、一月の大寒禊、七月の武州御岳山滝行に臨みます。皆様が参拝前に手と口を清める手水も、水を用い身体の内外を清めることから「禊行」を簡略化したものと言えます。