「初宮詣・初宮参り・お宮参り」とは、元来「産土参り」と呼ばれ、子供の誕生を産土の神(氏神、その土地の神様)に報告し、親子ともども出産という大事を神さまのご加護によって無事に終えたことの感謝と、子供の健康と成長、そして今後のご加護をお願いするために神社へ参拝する人生儀礼の一つです。

その昔、お産は汚れたものだと考えられていたため、初宮詣は、別名「忌み明けの祝い」とも呼ばれ、産婦の忌み明けと誕生した子供の氏子入りの儀式とを兼ねてお参りされていたそうです。
現在のように「初宮詣(初宮参り・お宮参り)」と呼ばれるようになったのは、室町時代頃からだといわれており、江戸時代(徳川家綱将軍の頃)には初宮詣の帰途に大老へ挨拶に立ち寄る風習が起こり、その後、武家社会への習わしが庶民の間にも広まり、親類や知人宅へ初宮参りの報告と挨拶に出向く習慣が、全国へ普及したといわれています。

地方により多少違いがあるようですが、普通は男児が生後32日目(または31日目)、女児は33日目に参詣します。

初宮詣には、子どもに祝い着を着せ、夫の母(姑)が抱くのが習慣になっています。
祝着は、男児が黒地の紋付きで、女児は友禅の晴れ着が伝統的です。
かつては、祝い着を妻の実家が調達していましたが、最近ではそういった古い慣習にこだわらない人も増えてきました。
また何日目というのも一つの基準であって、どうしてもこの日にしなければならないというものでもありません。
まず子供の健康状態や産後の母体への配慮を十分に考え、天候のよい時節や吉日を選んでお参りされて結構です。

お食い初め(百日祝い)
一生食ぺ物に不自由しないようにとの願いを込め、誕生した子どもに初めて食べ物を与える(真似をする)儀式を「お食い初め(百日祝い)」といいます。
地方により多少違いがあるようですが、歯が生える生後100目または120日目になりますと「お食い初め(百日祝い)」のお祝いをし、最も必要な食物に一生不自由することがないようにと念じて食べさせる真似ごとを行います。
伝統的な形の「お食い初め」は、一汁三菜の「祝い膳(いわいぜん)」を用意し、赤飯、汁物、鯛など尾頭(おかしら)つきの魚、焚き物、香の物、歯固め石、紅白の餅、勝栗などが供されます。
食器は正式には漆器で高足の御膳にしつらえ、器の漆の色も性別で異なり、男児は内外ともに赤色で、女児は黒色で内側が赤色です。

「歯固め石」は、石のように硬いものも食せる程、丈夫な歯が赤ちゃんに授かるようにと願いが込められています。